コラム

2022.04.13

PS加工 メリット・デメリット

PS加工のお問合せが多く、弊社では取り扱っていませんがPS加工に関する弊社の見解をお伝えできればと思います。「PS加工」は真珠の耐久性を高める加工法の1つです。真珠のみでなく、サンゴなどにも使われています。
・PS加工と聞いたことはあるもののよくわからない
・PS加工はイミテーション?
・PS加工で検索するといいことばかり書いてある。実際どうなの?
この記事では、これらの疑問を分かりやすく簡潔に解説しています。これを読むとPS加工を正しく理解したうえで、加工をする・しないを判断することに役立つかとと思います。早速読んでいきましょう!

目次

1. PS加工とは
2. PS加工はイミテーションなのか
3. PS加工で注意すること
4. まとめ

1. PS加工とは

PS加工とは、カルシウムを主成分とする真珠やサンゴ等の有機宝石の耐久性、特に酸耐性を向上させるため、炭酸カルシウムの炭酸イオンをフッ素イオンに置換する加工方法です。この方法により、有機宝石のカルシウムが強化され、耐酸性強度は従来のものの60倍になったと報告されています。ただ、本当に炭酸カルシウムがフッ化カルシウムに置換されているか、耐酸強度は増しているのか等議論の余地があります。

Point

つまり、強度60倍になったことが炭酸カルシウムがフッ化カルシウムに変化したことによるものかはっきりしていないということです。

 

2. PS加工はイミテーションなのか

以前、真珠の鑑別業者の間で、表面がフッ化カルシウムになってしまうのであれば、異物で真珠表面をコーティングしたことになるから、イミテーション扱いにするべきじゃないか?と議論になりました。一般社団法人日本真珠振興会では、真珠を「炭酸カルシウム(アラゴナイト)と有機物質(コンキオリン)が真珠層を形成するもの」と定義しているから、フッ化カルシウムと有機基質で構成されるものは真珠の定義外としています。

Point

PS加工をしたものは、理論上真珠という定義からは外れるものの、本当にフッ化カルシウムに変化したとは言い切れないことから、真珠であるかはグレーゾーンです。

 

3. PS加工で注意すること

PS加工をする際に気を付けることが2点あります。
・PS加工をすると、購入した店舗でのメンテナンスが受けられなくなることがあります。クリーニングや糸変えをしてもらえたり、保証期間があったりするときは、気を付けましょう。
・PS加工をすると、60倍耐酸性が上がると言われますが、真珠は酸以外に紫外線や水分、高温などでも劣化します。あくまで、いろんな要因の中の酸による劣化がおだやかになり、他の紫外線や高温などに対する耐久性に関しては言及されていません。PS加工後も、他のジュエリーとは別で湿度がこもらない暗い場所に置く、高温多湿を避ける、使用後はすぐに拭くなど基本的なお手入れを怠ってはいけません。

詳しいお手入れ方法はこちらの記事に書かれています。まだ読んだことがない人は一度目を通してみてください⇩
【決定版】美しさの要 真珠のお手入れ

Point

PS加工をしたからといってお手入れや管理の手間がなくなるわけではないので注意!

 

4. まとめ

今回はPS加工によって得られる効果や注意点、業界としての認識をお伝えしました。PS加工後のものが、真珠の定義外であることは驚きでしたね。ただ、本当に真珠表面が変化したか定かではないことからグレーゾーンであるとしか今のところ言えない状況です。これらを踏まえた上でご購入の際慎重に判断してくださいね。お客様が安心して真珠を手に取れられるよう正確な情報を分かりやすく、発信し続けたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。