コラム

2022.08.10

養殖真珠ができるまで

真珠を養殖するには手間がかかることはよく知られています。実際どのような工程があるか等謎に満ちた部分も多いですよね。今回は美しい真珠を作るために欠かせない養殖の工程を紹介します。母貝のもととなる稚貝の育成から始まり多くの工程がそれぞれ意味を持っています。これを読むことで私たちが目にすることがない真珠が作られる背景についてイメージしやすくなるかと思います。

目次

・採苗・稚貝育成
・仕立て
・挿核
・養生
・養殖管理
・浜上げ
・まとめ

採苗・稚貝育成

採苗とはアコヤ貝の赤ちゃんを採取する工程で、海の中で受精させる天然採苗と水槽の中で受精させる人工採苗の2種類があります。受精後、孵化したしたばかりの稚貝は1~2か月間水槽で育てた後、海に戻します。稚貝が母貝になるまで2か月で2~3mm、6か月で20~30mm、1年で60~70mmにまで成長します。採苗から母貝に育てるまでは約2~3年ほどです。

仕立て

仕立てとは挿核のショックを和らげるため生理活動を抑制する工程です。貝の生育を停止させ卵の発育を抑える卵止め、排卵を促進する卵抜きを行います。これによって、卵が原因とされる真珠層のシミや変色、脱殻やへい死が起こりにくくなるよう工夫しています。

 

挿核

生殖巣の中にピースと呼ばれる(貝紐を数mmに小さく切ったようなもの)と核を入れます。ピースは真珠層を形成する役割があります。核は淡水2枚貝の貝殻をカットし丸く研磨したものを使用します。真珠にダメージを与えてしまうと途中で、貝が核を吐き出してしまいます。手早く貝に負荷がかからないよう洗練された技は、養殖で一番難しいと言っても過言ではありません。

養生

養生は貝を休ませる工程です。貝にとって挿核は大手術のようなもので非常に体力を消耗しています。直接沖に戻さず、内海で2週間ほど休ませます。休ませることで、真珠袋(パールサック)が早く形成される効果もあります。

 

養殖管理

養殖管理は真珠層が形成される間、1~2年間体内で真珠を形成する工程です。貝のネットには海藻やフジツボ等が付着するため、1~2週間に一度噴水機や汚れがひどいものは1つ1つネットから取り出して貝の掃除を行います。海水温の管理も重要で、水が冷たいときには温かい海へ、水温が上がりすぎたときは冷たい海へ移動させます。

浜上げ

浜上げは11月後半から2月頃の冬に行われます。この時期は表面の真珠層が薄く、キメが細やかな真珠に仕上がるためです。海から引き揚げた貝から真珠を取り出し、塩水で真珠を洗い表面の汚れを落とした後、水で洗って乾燥させます。

まとめ

真珠ができるまでの工程は採苗・稚貝育成、仕立て、挿核、養生、養殖管理、浜上げの6工程でどれも美しい真珠を作ることに欠かせません。挿核の手際の良さや養生など貝のストレスを少なくすることが美しい真珠を作るために大切でした。真珠はたくさん工夫されているからこそできあがる美しさの結晶ですね。