黒蝶真珠と他の真珠の違い
真珠にはアコヤ真珠、黒蝶真珠、白蝶真珠など多くの種類があり、それぞれ産地や特徴が異なります。しかし、それぞれの特徴がまとまったサイトはなかなかなかありません。そこで今回は黒蝶真珠と他の真珠の違いを丁寧に解説します。知っていると真珠を選ぶときに役立ったり、さらに真珠に対する理解を深められたりする内容となっています。黒蝶真珠のイメージはあるものの上手く説明できない人、真珠をこれから買おうと思っている人、真珠の正しい知識を身に着けたい人は最後まで読んでみてください!
目次
1.真珠の種類
2.黒蝶真珠の特徴
3.黒蝶真珠の歴史
4.黒蝶真珠と黒真珠の違い
5.まとめ
1.真珠の種類
真珠は、産地によって大きさや色、形などが異なります。たくさんの種類があり、その中でも代表的な真珠は、アコヤ真珠・黒蝶真珠・白蝶真珠・淡水真珠の4種類に分けられ、それぞれ色や大きさなどに異なる特徴があります。黒蝶真珠の解説に入る前に、ざっくりと真珠の種類について知っていると理解が進むと思います。真珠の種類については以前あげている「アコヤ真珠と他の真珠の違い」でも解説しているので、まだ読まれたことのない人は一度読んでみてください!
2.黒蝶真珠の特徴
・多彩な色を持つ
黒蝶真珠の母貝である黒蝶貝は、赤褐色、緑褐色、黄褐色の3つの色を有しており、これらが混ざることで黒っぽい色が生まれます。また、これらの組み合わせや割合によって赤味が強いものや、緑味が強いもの、ピーコックと呼ばれる強さのある緑のもの、真っ黒のものなど、2つとして同じものがないぐらいそれぞれ少しずつ色が違います。このカラーバリエーションを活かし、黒蝶真珠にはマルチカラーと呼ばれる連もあります。マルチカラーは作る人によって雰囲気が変わる奥深さがあります。
Point
黒蝶真珠は多彩な色を持つがゆえに連を作ることが非常に難しいです。極力、色やテリなどが近い真珠で組むことで浮いて見えることなく、美しい連が仕上がります。
・巻きが厚い
黒蝶真珠はアコヤ真珠に比べて1枚1枚の真珠層が厚いため、巻きが比較的厚くなりやすい特徴があります。巻き厚があるからといってテリのある真珠になるとは限りませんが、中にはアコヤ真珠と匹敵するようなテリを持つものもあります。しかし、巻き厚がある分、深いキズができやすい繊細さも持ち合わせています。
Point
2017年までは、巻き厚0.8mm未満黒蝶真珠の輸出が禁止されており、極端に巻きが薄い黒蝶真珠は、お客様の手に渡ることはありませんでした。しかし、その後顧客の選択肢の自由を守るため、輸出禁止の制度が撤廃されました。
・形
黒蝶真珠の形は、ラウンド(球形)、オーバル(長丸形)、ドロップ(しずく形)、ボタン(楕円形)、バロック(不定形)、サークルなどがあります。特に、黒蝶真珠は他の真珠に比べてサークルが多い特徴があります。
・大きさ
黒蝶真珠は直径約7~18mmほどです。以前は、大きい核を入れて大きい真珠を作っていましたが、近年は8~9mmも増えてきています。そのため、大きさだけでは、アコヤ真珠の黒染めと黒蝶真珠を見分けることは難しくなってきています。また、大きい真珠の場合、大きい核を入れているため、ヒビや切れ目ができやすくなってしまいます。
3.黒蝶真珠の歴史
年代 | 出来事 |
15世紀 | 大航海時代に南太平洋の島々が発見され、天然真珠の採取地となりました。しかし、天然真珠は2万個の貝の中から1つしか取れず、非常に貴重なものでした。そのため、王族が主にボタンの材料として使っていました。 |
20世紀 | 洋服のボタンがプラスチックに代わり需要が激減すると、新たな事業を模索すべく、養殖試験が始まりました。しかし、綺麗な真円真珠の開発には成功しませんでした。 |
1951年 | 初めて黒蝶真珠で真円真珠の養殖に成功した土地は日本の石垣島でした。御木本幸吉により成功はしたものの、母貝の数に限界があり市場に多く出回るほどは採取できませんでした。 |
1961年 | タヒチのヒクエル島で真円真珠の養殖が成功し、これを機にタヒチで本格的な黒蝶真珠の養殖が開始しました。 |
1980年~ | 黒蝶貝採苗技術の確立により母貝の供給量が安定しました。これにより黒蝶真珠の生産は、急激に拡大したのです。そして今では、世界の黒蝶真珠の95%がタヒチで生産されています。 |
4.黒蝶真珠と黒真珠の違い
黒真珠は黒色をした真珠の総称です。黒蝶真珠だけでなく、アコヤ真珠や淡水真珠の黒染めや放射線照射によって黒く仕上げられたものも含まれます。日本では黒色の真珠はお葬式で使われるイメージを持たれる人もいますが、決してそんなことはなく、海外では身に着けたい色の真珠を身に着けたいときに使用することが一般的です。実はカジュアルな服装にも合わせやすいため、普段使いがしやすい真珠でもあります。
5.まとめ
多彩な色を持つがゆえに、人々を飽きさせることなく、マルチカラーやピーコックグリーンなど、知れば知るほど非常に奥深さを感じさせる黒蝶真珠。この繊細で奥深さのある黒蝶真珠が世界の人々の手に渡るようになるまでの過程や他の真珠との違いを解説しました。真珠の正しい知識を知っていただき、購入時の迷いや疑問を少しでも解消できれば幸いです。次回は白蝶真珠の解説をします!お楽しみに!